番外編・良い香りの植物


 人間の動物的な側面、それは嗅覚ではないでしょうか。主に視覚からくる美しさは、高度に知的な認識のプロセスのように感じますが、これに対して、匂いというのは、人間の奥深くの本能を揺り動かすような力強さがあるように思います。植物も、いろいろな匂いを発して、動物にサインを送っています。そこで、私が、良い香りだと感じた植物のいろいろを紹介したいと思います。ただ、良い香りという観点は、極めて主観的なものですので、ここでは、私(作者)が良い香りと思った植物のランキングを示すことにします。従って、(1)私が過去に栽培したか観察した植物であること、(2)私が良い香りと思った植物であること、という点で、皆さんの好みと合わないこともありますので、ご了承下さい。例えば、キク属の仲間には匂いを持つものが多いですが、私にとっては臭い匂いです。スプレーマムなどの切花は匂いが気になるし、クリサンセマム・パルドサムのノースポールなどの鉢花の匂いといったら、私にはとても我慢できません。また、ジャスミンの仲間のジャスミナム・ポリアンサムは、日本でかなり普及しているつる草で、強い香りがありますが、私は、あまり良い香りだとは思いませんので、これらは、意図的に載せていません。
[第1位]ミント類(Mentha sp.)シソ科
 北半球の温帯に広く分布するこの草の持つ香りは、ハッカの香りとしてあまりにも有名です。花の香りではありませんが、植物の香りとして最も親しまれているものの一つではないでしょうか。植物由来で有名なものに、バニラの香りもありますが、これは、発酵の過程で生成される香りで、植物本来の持つ香りではありません。このような点から、このハッカの香りを第一位にしたいと思います。とくに日本ハッカやペパーミントが有名です。家庭で栽培するならば、イングリッシュ・ブラックミントという写真の種類が摘んでそのままでも香りが良く、お勧めです。ハッカは人間とのかかわりが大変深い植物だと思います。また、シソ科の植物では、シソ、エゴマ、レモンバームなどが有名です。植物をつぶしたり、こすったりして得られる香りとしては、さらに、サンショウ、ユズ、ミツバなども良い香りだと思います。また、カモミール、ラベンダー、セージ、ローズマリー、タイム、バジル、ニラ、ニンニクというものもありますが、正直言って私には、その香り自体はあまり良い香りだとは思わず、むしろ強い匂いという分類に入ってしまいます。いずれにせよ、一般に植物の香りというと花の香りを指すと思いますので、ミントを特殊な例として、あとは、ランキングしませんでした。
ミント類(Mentha sp.)
ブラッサボラ・ノドサ(Brassavola nodosa) [第2位]ブラッサボラ・ノドサ(Brassavola nodosa)ラン科
 中央アメリカ原産の棒状の葉を持つ変わった小さなランの仲間です。白いスペードを逆さにしたの形の花を、主に夏につけますが、これが良い香りを放ちます。匂うのは夜だけで、ヨーロッパでは夜の女王などと呼ばれています。個体によっても香りの違いがありますが、その匂いが、まさに石鹸の香料の匂いなのです。夕方、薄暗くなってから、ほのかに匂ってくるその香りは、まさに、湯上り美人を彷彿とさせる香りです。その香りだけでも栽培してみる価値のあるランだと思います。
[第3位]ギンモクセイ類(Osmanthus fragrans cvs.)モクセイ科
 キンモクセイやギンモクセイは、独特な甘い香りを持つ中国原産の植物です。さまざまな種類があります。この香りがすると、もう秋が来たんだなと感じる人も多いのではないでしょうか。写真の種類は四季咲きに改良されたギンモクセイです。一年中、ちらほらと、香りの良い花を付け、10cmくらいから咲き始めるので、小さな鉢に植えて、机のそばに置いておけば、時々世話をしながら香りをかいで、生きた植物でアロマテラピーができて、ストレスの多い人もリラックスできるのではないでしょうか。苗が、ピッコロオリーブという商品名で販売されています。
ギンモクセイ類(Osmanthus fragrans cvs.)
デンドロキラム・グルマケウム(Dendrochilum glumaceum) [第4位]デンドロキラム・グルマケウム(Dendrochilum glumaceum)ラン科
 これは、低温にも比較的丈夫なセロジネの仲間のフィリピン原産の小型のランです。早春に小さな花が集まった穂状の花序をつけます。この花の香りがとても素敵です。甘いお菓子の匂いです。バニラや蜜の香りも甘いですが、本当に甘さをイメージすると、このような香りになるではないかと思います。この花を見つけたら、是非、香りを確かめてみてください。ランの展示会の即売では、地味な花のため、いつも片隅で売れ残っています。花の寿命はそれほど長くありませんが、こんなに良い香りがあるのに、とてもかわいそうな話です。
[第5位]ウメ(Prunus mume)バラ科
 あまりにも有名な中国原産の木本植物です。サクラほどの派手さは無いですが、何よりも、その香りが春を感じさせてくれます。甘い中にも、なにかピーンと張ったすこし酸味のあるような高貴な香りだと思います。日本語では、ウメと呼びますが、中国語では、メイです。梅花を中国語では、メイファーと言いますが、日本語のウメよりも、春らしい良い響きだと思いませんか。写真は、白加賀(シロカガ)という実を取る品種の花です。加賀の梅のご紋のように、端正な5弁花で、実の品質が良いので、各地で栽培されています。梅は、自家不和合性といって、自分の花粉では実を結ばないものが多いばかりか、花粉を少ししか出さないものも多いので、2種類以上の品種を吟味して植えつけないと、花が咲いても実が成らないということもあります。一本だけ植えて実も楽しみたいならば、花香実(はなかみ)という品種がお勧めです。品種名の通り、花も淡ピンクの半八重で美しく、香りも楽しめて、一本で実も成ります。
ウメ(Prunus mume)
クチナシ(Gardenia jasminoides) [第6位]クチナシ(Gardenia jasminoides)アカネ科
 クチナシは、果実が稔っても口を開いて種をこぼさないので、そう名づけられたようです。碁盤の足にも、クチナシの実がデザインされていて、口出し無用というしゃれになっているという話です。本州南部、中国、台湾、インドシナなどに分布しています。日本では、6月に開花します。その香りは、湿った甘い香りで、私は、この匂いをかぐと、梅雨を想像してしまいます。そんな感じの、何かまとわりつくような香りだと思います。切花を買ってきたら、コップの水に生けて、水が腐らないように換えていると、やがて根を出します。それを土に植えれば、苗木を買わなくても育てることができます。春先に枝を切ると花が咲かないので、注意しましょう。
[第7位]ロウバイ(Chimonanthus praecox cvs.)ロウバイ科
 年も押し詰まった暮れ、溜まった仕事の整理や大掃除などあわただしい毎日が過ぎていきます。太平洋側の乾いて冷たい空気の中で、ふと、春らしい香りが漂います。春に先駆けて一番に咲く花が、この中国原産のロウバイです。一般には茶色い色が入りますが、写真の種類は、ソシンロウバイと呼ばれる黄色一色で、園芸価値の高いもので、その中でも花の大きな満月という選抜品種です。一鉢持っていると、年末から2月ぐらいまで楽しめます。花は寿命が来ると黒いインクで浸したような色になります。冬場はエサがないのか、この花や蕾が、鳥たちの格好のえさになりますので、蕾がついていたのに、いつのまにか無くなっていたら、鳥の仕業と考えましょう。
クチナシ(Gardenia jasminoides)
リカステ・アロマティカ(Lycaste aromatica) [第8位]リカステ・アロマティカ(Lycaste aromatica)ラン科
 ランの仲間は、典型的な虫媒花で、しかも、特定の昆虫などと、密接にそれぞれの種が結びついています。このため、匂いも、特定の相手が好むようになってきているので、実にさまざまな種類の匂いを持っています。中には、鼻が曲がるようなものから、接着剤の溶剤のようなものまで、種々雑多です。このリカステ・アロマティカは、晩春に黄色い花を咲かせる、中央アメリカ原産の冬季落葉性のランです。この香りを目隠しして嗅がせると、誰もが「ある」香りだと言います。そう、ニッキの香りなのです。ニッキ飴の袋を開けて漂ってくる香りにそっくりです。ニッキが好きな人は、是非、栽培してみてください。リカステの仲間は、夏に暑がるものが多く、栽培が難しいものですが、このアロマティカは、暑さにも強く、比較的簡単です。冬に落葉したら、水をやらずにゆっくり休ませてあげましょう。
[第9位]フウラン(Neofinetia falcata cvs.)ラン科
 日本原産の着生ランです。中国・韓国・日本で昔から栽培されているランを、園芸的には東洋ランと呼んでいます。このフウランは、富貴蘭と呼ばれ、愛培者が多いものです。香りの良いものには、カンラン、中国シュンラン、ナゴランなどと並んで、このフウランがあります。初夏に咲く花は、朝よりも夜のほうが香りが強く、化粧品のような良い香りがします。写真の品種は、玉姫という、距の部分が赤く色付く美しい花を咲かせます。
フウラン(Neofinetia falcata cvs.)
ヤコウカ(Cestrum nocturum) [第10位]ヤコウカ(Cestrum nocturum)ナス科
 西インド原産の低木で、写真のような花を咲かせます。昼間は、萎んでいますが、夜になると開き、強い香りを放ちます。昔は、夜香木と呼ばれましたが、木が香るわけではないことから、夜香花という名前に変わりました。ダチュラ(木立朝鮮アサガオ)と同じ程度の耐寒性なので、首都圏ならば露地で越冬すると思います。強い香りなので、遠くまで香りが広がり、しかも、良い香りです。夏から秋まで周期的に何回か花を付けるので、庭の片隅に植えておくと面白いと思います。
[第11位]ヒメサザンカ類(Camellia luchuensis cvs.)ツバキ科
 沖縄や台湾に自生するヒメサザンカとツバキをかけ合わせて、香りツバキと呼ばれる品種群が作られています。花の大きさは小さいですが、独特の良い香りがあり、香りも強いので、一鉢あると相当に香ります。ツバキは蜜があっても香りがないものとあきらめていた人にとっては、楽しい一品です。花期は、品種によって、秋から春までさまざまです。鉢植えにして、花が咲いたら室内で香りを楽しむと良いと思います。写真の品種は、港の春といい、早春らしい柔らかい桃色をした春咲き小輪の品種です。ツバキのなかまのチャ(茶)は、晩秋に花が咲いて、それほど強くないですが、やはり良い香りがします。
ヒメサザンカ類(Camellia luchuensis cvs.)
スイセン類(Narcissus cvs.) [第12位]スイセン類(Narcissus cvs.)ヒガンバナ科
 スイセンの仲間もさまざまに品種改良され、世界中にファンがいます。しかし、チューリップほど一般化せずに、どちらかというとマニア的な花というイメージがあるのは、花色が乏しいせいなのでしょうか。香りも、品種によって様々ですが、私一番良いと感じるのは、ニホンズイセンを代表とする房咲水仙の香りです。日本原産でもないのに、すっかり我が物顔で、海岸沿いに自然繁殖して、大群落を形成しています。なぜか、海沿いに生えていることが多いのは、その昔、海流にのって日本の沿岸に球根が漂着したせいではないかともいわれています。ニホンズイセンの香りは、つんと尖っているのですが麻痺するような感じを伴っています。春というか、正月を感じさせてくれる切花の一つですね。まさに、しびれる香りです。これは、スイセンが毒草であるということと関連しているのでしょうか。
[第13位]ユリ(Lilium cvs.)ユリ科
 世界で愛されているユリは、日本の原種が元になって大輪の品種が作り出されました。そのひとつが、ヤマユリ、カノコユリ、サクユリなどが親になってできた、一群の大型大輪強香の品種があります。オリエンタルハイブリッドなどと俗称されています。特性はヤマユリに近いもので、株元が他の草で覆われ、地面の湿り気を好み、日当たりはそれほど必要とせず、赤、ピンク、白の大輪花を付ける特性があります。この系統には強い香りがありますので、病人の見舞いなどに持っていくのには、好みは別れるところでしょう。また、花粉の色が濃くて、衣類などに付着すると取れにくいので、その点も好まれないところがあります。写真は、シャンパーニュ・ベルサイユという品種です。
ユリ(Lilium cvs.)
ブバルディア・ロンギフロラ(Bouvardia longiflora) [第14位]ブバルディア・ロンギフロラ(Bouvardia longiflora)アカネ科
 以前は、鉢花が沢山出まわっていたのですが、最近は見かけません。この花は、夜になると大変良い香りを漂わせます。その香りが、第2位のブラッサボラ・ノドサと同じだったように記憶しています。写真に示したものは、最近良く出まわっている違う品種で、ロンギフロラ(旧名フンボルディ)ではなく、香りもほとんどありません。ロンギフロラはハダニに弱く、残念ながらはるか昔に枯らしてしまいました。ロンギフロラは、この品種よりはずっと大輪で、花の筒部がずっと長く、一つの花房の花数が少なかったと記憶しています。今となっては入手の手かがりさえありません。どなたかご存知の方がいらっしゃいましたら、教えてくださいませんか。
[第15位]ヘリオトロープ(Heliotropium arborescens)ムラサキ科
 紫色のかわいい花を付ける、南アメリカのペルー原産の植物です。花は、バニラのようなとても甘い香りで、第4位のデンドロキラム・グルマケウムに似ています。寒さにはやや弱いですが、温度が十分あれば、ぽつぽつとずっと花を咲かせつづけます。背が高くなるとひょろひょろしてきますので、低く切り詰めると、脇芽が沢山出てこんもりと茂り、形が良くなります。オンシツコナジラミが付きやすいので、注意してください。
ヘリオトロープ(Heliotropium arborescens)
ドイツスズラン(Convallaria majalis) [第16位]ドイツスズラン(Convallaria majalis)ユリ科
 スズランは、とてもやさしい香りの花を咲かせます。特に、ドイツスズランは、花も大きめで、葉の上に出て咲くので、園芸的な価値が高いのです。香水にも使われるくらいなので、良い香りなのですが、毒草ということもあって、その香りの裏には、スイセンのような何かの気配を感じるのは、私の思い込みなのでしょうか。
[第17位]マツリカ(Jasminum sambac)モクセイ科
 ジャスミンティーの原料として有名です。いわゆる、ジャスミンの香りがします。気温が適当ならば、一年中開花します。いわゆる、青臭い良い香りの代表的なものです。私は、この香りに、若々しさを感じます。小さな鉢でもよく花を付けるので、鉢物として時々市販されています。開花したときには真っ白な花色が、寿命が来ると赤みかがった紫に変色してしまうところも面白いところです。とは言っても、ナス科のニオイバンマツリのように白から紫に明確に変色するわけではありません。園芸店で、マツリカジャスミンとして売られているものに、よく、このニオイバンマツリがあります。両者は全く異なるものですし、両方とも香りを持ちますが、香りの性質は異なっていますので、混乱しないようにしてください。
マツリカ(Jasminum sambac)
サンユウカ(Ervatamia coronaria) [第18位]サンユウカ(Ervatamia coronaria)キョウチクトウ科
 インド原産の低木です。写真は、八重咲きの品種である、ヤエサンユウカ(E. coronaria cv. 'Flore Pleno')です。昔は、Tabernamontana属に分類されていました。照り葉で、花は白色で清楚です。木の感じがちょっと小さいクチナシです。夜から明け方にかけてだけ、大変良い香りを漂わせます。ジャスミン系の香りですが、上品です。日向よりも半日陰を好みます。
[第19位]イランイランノキ(Cananga odorata)バンレイシ科
 高級香水の原料としておなじみです。名前は、香料のilang-ilang(現地語で「花のなかの花」という意味)をカタカナ読みにしたものです。花は、細長いヒトデ状でほとんど目立ちません。蕾から徐々に花弁が伸びて来ますので、いつ開花したのか分かりにくい感じです。花が緑から黄緑のうちはほとんど匂いませんが、黄色くなって萎れてきたころに独特の香りを放ちます。むっとくるような強烈な香りですが、少しするとまた嗅ぎたくなるような不思議な魅力を持っています。東南アジア、オーストラリア、ヒマラヤまで自生しているようですが、原産地は不明です。
イランイランノキ(Cananga odorata)
トウオガタマ(Michelia figo) [第20位]トウオガタマ(Michelia figo)モクレン科
 バナナそっくりの香りで有名な植物です。どちらかというと、バナナ風味のキャンディーの匂い、フーセンガムのお菓子の匂いのような感じです。別名、カラタネオガタマとも呼ばれます。常緑の葉がつややかで美しいので、生垣やお寺の植えこみとしてよく使われています。日本産のオガタマもありますが、こちらは花の色は白く、香りの種類も異なります。
[第21位]マキシラリア・ビテリニフローラ(Maxillaria vitelliniflora)ラン科
 ブラジル原産のとても小さなランの仲間です。写真の花の大きさは、1cm程度しかありません。しかし、体に対しては大きめの花です。左の奥に蕾がありますが、葉の細さに比べてかなり大きめです。花の色は、えび茶色で目立たず、あまりきれいではありません。しかし、香りが変わっているのです。この花に鼻を近づけると、スイカの匂いがします。というか、キュウリなどのウリの仲間の特有な匂いと花の甘い香りが混ざった匂いがします。キュウリが嫌いな人は、この匂いを嗅いだだけで鳥肌が立つのではないでしょうか。スイカが好きな人にとっては、早春に咲くこの花は、夏の暑い日のスイカの思い出を回想させてくれるに違いありません。
マキシラリア・ビテリニフローラ(Maxillaria vitelliniflora)
夜来香(Telosma cordata) [第22位]夜来香(Telosma cordata)ガガイモ科
 イエライシャン(夜来香)と呼ばれる植物は、これまで、このページにも掲載されている、ヤコウカ(Cestrum nocturum)か、または、月下香と呼ばれるチューベロース(Polianthes tuberosa)かと、誤って伝えられていました。しかし、本当は、インドからベトナムにかけて原産するガガイモ科のこのつる植物であることが明らかになりました。開花日は、花弁が緑色ですが、日が経つにしたがってオレンジ色になってきます。名前の通り、夕方、夕闇が迫るころに匂い始めます。香りは、生臭みのある湿った酸味のある独特の香りで、少し癖がありますが、なんとなく妖艶な感じがします。人によって好き嫌いの分かれるところでしょう。
[第23位]ジンチョウゲ(Daphne odora)ジンチョウゲ科
 早春に花をつける、中国原産の常緑の低木です。日本では、生垣や庭木として広く普及しているので、開花したときの強い良い香りをご存知の方も多いと思います。つんとした感じの香りがあります。スイセンなどと同じような麻痺系の香りもします。この仲間にはオニシバリのような毒草も多いので、あるいは、ジンチョウゲも毒草なのかもしれません。日本に導入されている系統は、キンモクセイと同様に、実をほとんど付けないので、誤食による被害も無く、香りだけが愛されてきたのかもしれません。
ジンチョウゲ(Daphne odora)
モクセイソウ(Reseda odorata) [第24位]モクセイソウ(Reseda odorata)モクセイソウ科
 早春から春に咲く、不耐寒性の草花です。花序の大きさは、数cmでそれほど大きくなく、しかも、目立たない花です。しかし、その匂いは、キンモクセイなどのモクセイの仲間に似た良い香りです。このため、モクセイソウという名前がつけられました。暖かくなると良く匂います。日本ではあまり一般的ではありませんが、フランスなどのヨーロッパ地方では、香水の原料などに使われています。秋に種をまいて、フレームで冬越しさせると、伸び上がって春先に花をつけます。種子は大きめでまきやすいですが、低温や高温多湿に弱いので、日本では栽培しにくい植物です。
[第25位]チューベロース(Polianthes tuberosa)リュウゼツラン科
 夏から秋にかけて、長い花茎の先に白い花をつける球根植物です。夜に香るので、月下香とよばれています。香りは、ジャスミンと比べるとやややわらかい感じです。この仲間はメキシコが原産地のものが多いのですが、このPolianthes tuberosaは、東南アジアを初めとする各地で切花等に大量に栽培されていて、はっきりした原産地は不明です。写真の左下は一重咲きの種類で、たくさんの品種があります。なるべく大きな球根を選んで買い求めないと、植えても花が咲かない場合があります。また、花が咲くと、その次の年には開花しないことが多く、なるべく暖かい場所で、肥料をたくさんやって球根の肥大に努めます。日本では、八丈島や九州のあたたかい地方で作られています。
チューベロース(Polianthes tuberosa)
タマツバキ(Crassula teres) [第26位]タマツバキ(Crassula teres)ベンケイソウ科
 草丈が10cm以下の小型の多肉植物です。厚い葉が密集してついて、円筒状になります。その姿が、まるでツバキのつぼみのようなので、玉椿という和名がつけられました。日本では、初夏から初秋にかけて休眠しますので、水を切ります。秋から春が生育期で、冬から春にかけて先端に写真のような白い小さな花を密生させます。ジャスミンのような香りが強く匂います。南アフリカの原産です。
[第27位]ナイトフロックス(Zaluzianskya capensis)ゴマノハグサ科
 南アフリカ産の宿根草です。日本では、夏の暑さにやや弱いので、秋播きで、二年草として育てる場合もあります。蕾のときは、赤褐色であまり綺麗ではありませんが、夕方になって花を開くと、内側の色は白色で、闇に目立つようになります。夜間だけ、甘い香りが漂います。
ナイトフロックス(Zaluzianskya capensis)

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